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2016

Alverata

— Gerard Unger

タイプデザイン賞


 

Alverata」タイプデザイン

Alverataは私の11世紀12世紀ヨーロッパにおけるロマネスク体についての博士研究から端を発して作られた、厳然たるモダン・タイプフェイスだ。碑文に刻まれた短い棘のようなセリフと広がりのある大文字をこの書体の基本としている。20世紀初期のモデルも考慮に入れているが、個性のなさや模倣を避けるため微調整している。
Alverataは見慣れない細部で読者を煩わせることなく、従来の字形を引き伸ばしている。基本的にロマネスク体はどっしりとしているが、曲線とステムの交わり方や、曲線端の収まり具合など、細部はさまざまに洗練されている。Alverataには広範な読者に応じて3つのスタイル、レギュラー、インフォーマル、イレギュラーがあり、それぞれの目的と印象がある。レギュラースタイルが全体のトーンを定め、インフォーマルには単層の「a」やターミナルなどに予想外の柔らかさがある。イレギュラーは、ユニークさと折衷主義的な歴史的参照の結合を第一のゴールとするシナリオのために制作され、Alverataの特徴、本質がここにある。従来のラテンアルファベットの小文字ではカーブした形状が優勢で、大文字では直線と角が多用されるが、Alverataイレギュラーはこうした特徴を取り替え、ウェイトを増したり従属のサンセリフ体を作ったりするのではなく、文字そのもので実験している。
前述した20世紀初期のモデルの第2の特徴が、細部やファミリーの関係性に認められる。Alverataはxハイトが高く、若干長体がかっており、カウンターが広い。こうした細部に注意を払うことによって、デジタルでも紙面への印刷でも美しく再現され、開放性に優れ小さな文字でも読みやすく、大きな文字は生き生きとして魅力的に映る。
Alverataファミリーを完成させるために、レディング大学のGerry LeonidasおよびアテネのIrene Vlachouと協力してギリシャ版を、Tom Graceと協力してキリル版を開発した。


Gerard Unger(オランダ)
1942年オランダのアルンヘム生まれ。1963年から1967年までアムステルダムのヘリット・リートフェルト・アカデミーでグラフィックデザイン、タイポグラフィ、タイプデザインを学ぶ。英国のレディング大学タイポグラフィ・グラフィックコミュニケーション学部で客員教授を務め、オランダのライデン大学では教授としてタイポグラフィを教える。1972年からフリーランスのデザイナーとして活動、これまでに切手、硬貨、雑誌、新聞、書籍、ロゴ、CI、年次報告書他多くを手がけ、また書体デザインもしてきた。ベルギーのハッセルト大学とエストニアのタリン大学から名誉博士号を授けられるなど、オランダ国内外で受賞・章経験を持つ。業界誌やLandscape with Letters(1989年)など大型出版物に記事を執筆し、限定されがちな書体とタイポグラフィの範疇をより広範な文化的視野へと結び付けている。著書『Terwijl je leest – about reading -』はイタリア語、英語、スペイン語、ドイツ語に翻訳されている。自身の作品、タイプデザイン、リーディングプロセス、その他の関連テーマについて、オランダ国内外で頻繁に講演を行う。